アフリカの太鼓:Djembe(ジェンベorジャンベ)を叩きながら歌を歌っています。
去年初めて1 Pi:ceに参加しました。
体験談をちょっと書こうと思いますね。
〜平和の火との出会い〜
平和の火との出会いは、去年の冬から春に変わろうとしていた時期。
大阪 玉造 にある町屋をリノベーションしたゲストハウス&スパイスカフェ由苑でLIVEイベントをするようになり、そこでタケと出会った。
タケは一年ほど前まで約半年間、泊まり番として由苑に住んでいたらしい。
彼はチェ・ゲバラの娘、アレイダ・ゲバラさん初来日講演を仕掛けたりいろいろな活動をしている。
由苑には変な奴が集まるのだ。
由苑でキャンドルナイトをしようと計画していたが、その時はただ漠然と知り合いのミュージシャンを呼んでLIVEしようと思っていた。
そんな折、タケから”平和の火”の話を聞いた。
「原爆の残り火、、。そんなもんがあったんか。。。」
大阪と広島のハーフである自分は、小学生の頃から原爆について関心があった。
しかしそんな火の存在など全く知らなかった。
その話を聞いた時から自分が開こうとしていたキャンドルナイトに”確たる意義”が盛り込まれ、急速にイメージが明確になっていった。
〜ピースステーションでの採火式 @興禅寺 京都〜
年間100本ほどLIVEをしているので、大体の週末はLIVEだ。
しかしたまたま一ヶ月半後に行われる採火式の土日は空いていた。
こんな事は滅多にない。
そんなわけでタイミング良く京都 興禅寺の採火式に参加。
神戸の福祉施設でのLIVEを終えて、全国から集まったピースフレンドたちと合流。
レクチャーを受け、その後のキャンドルナイトでは”よだか”さんや”成せば成美”の紙芝居、自分と”ふみんこ”のミニLIVEを行った。
夜は宿泊先で輪になり互いの自己紹介や自分がどのような理由で、そしてどのようなキャンドルナイトにするのかを語り合った。
会話、食事、ちょっとお酒、銭湯、ザコ寝。
”おもろい奴がいっぱいおるわ。”と感じながら15人ほどで夜を更かしていった。
この経験は”平和の火を使ってどうしたいのか”という考えをまとめる大変良い機会となったし、同じ火を通して”こういう仲間がおるんやな。”と大変心強い共同意識も持てた。
〜拓道さんの話 in 星野村〜
火を手にして一週間後、たまたま私用で福岡市内に行く予定が前々から決まっていたので、これは行かなあかんやろと星野村へ。
平和の火は、火を絶やさないよう携帯懐炉に肌身離さず持っていなければならないので奇しくも京都から星野村へ里帰りである。
星野村という”場”に行きたかったのと、原爆の火を星野村へ持ち帰った故山本達雄さんのご子息であり、達雄さん亡き後、平和の火の語り部、守人である山本拓道さんに会ってみたかった。
聞くのと実際行って感じるのとでは大きな大きな差がある。
平和の火を使ってキャンドルナイトを開く主催者として、またそこで音楽を奏でる音楽人としてどうしても行かなければならないと、火を受け取ってから日ごとその思いが強くなっていた。
インスピレーションを受けること。そしてそこから何ゆえ自分がこの火を使ってキャンドルナイトをするのかという事を更に確たるものにしたかった。
でなければ、自分の真意が伝わらず場所を与えてくれた由苑スタッフ、他の出演者、来場してくれる参加者が惑う。結局何がしたかったのかと。
福岡市内から車で1時間半ほどだったか、タケ経由でアポを取ってもらい、山本拓道さんのお宅へ。
全国から取材やこうやって訪ねてくる人間に何回も何回も平和の火について語られてきたであろうが、ゆっくりと一時間ほど平和の火の事、達雄さんの事を話してくれた。
今でも思い浮かぶほどに朗らかで柔らかな笑顔を持ち、かつ骨太で芯の強さが感じられる翁だ。
「父・達雄は晩年まで殆どこの火について周りに語りませんでした。私は戦争を直接知らないから、こうして平和の火、そして山本達雄のことをこうして語れるんでしょうねぇ。
私は私で達雄にできないポジションがあるのかなと思うようになりました。」
ゆっくりと流れる時間、部屋の中に入ってくる日差し、拓道さんが焼かれた焼き物と相まって、この言葉が最も記憶に残り、助けとなった。
拓道さんと奥さんに別れを告げ、平和の火が祀られている公園でDjembeを叩いた。
「始めまして。私はこういう者で、この火を使わせてもらいます。」
自分が出来うる最大の自己紹介であり挨拶であり礼だ。
〜平和の火とは見上げ入道の如し〜
火を受け取ってキャンドルナイト当日まで二週間ほどの時間があった。
ワンピースの活動に参加すると決めたのは、もちろん自分の中で直感的確信があってのこと。
しかし、火と向き合う日々の中で”果たして俺はこの火を使ってよいのか”、”この火を見て悲しい思いをする人がいるぞ”といろんな問いが生まれては答えを考える。
毎日その繰り返し。
何日目か次第に「これでいいのだ。」と思った。
この繰り返される問答や感情に身を任せようと。
当日までどうなるか分からないが、その心情を音に乗せればよいと。
これだけは最初から最後まで揺るがなかった。
「それでもやらせてもらいまっせ。そしてこのキャンドナイトは全て己が責任でやります。」ということ。
平和の火との共同生活の中で、ふと水木しげるの妖怪図鑑に載っていたある妖怪を思い出した。
そいつは暗い夜道を歩いていると、なにやら後ろに人の形をした黒い影がいる。
初めは自分と同じくらいの背丈だが、見つめていると段々大きくなっているように感じる。
そして見上げれば見上げるほど大きくなり、やがて山のように大きくなる。
たいていの人はそれで肝をつぶすが、撃退方法(妖怪には必ず弱点があるのだ。)は落ち着いて見下げれば元の大きさになる。
名を”見上げ入道”という。
特にアタックしてくる分けでもなく、小学生の時は「なんじゃそら!それだけかいー!!」とツッコんだものだが、こいつは深い妖怪だ。深いね〜。
日に日に平和の火もその存在が大きくなる。
こんな自分でもその圧力に押されそうになった。
こちらの受け取りようによっちゃモンスターのようにもなるし、未来への光にもなる。
"大樹"という己の名からインスピレーションを受けて自分が持っている考え方あり。
”大地にしっかりと根を張り、上体は逆らわず、しなやかに、柔からく、流れるように外的刺激を受け止め吸収する。
その使命が終わるまで決して倒れる事はない。”
平和の火ともそのような姿勢で付き合った。
〜自分が開いたキャンドルナイト in 2009の内容〜
場所:大阪 玉造 ゲストハウス&スパイスカフェ 由苑
□モンゴルの弦楽器:馬頭琴 品川耕一LIVE
□中国の弦楽器:二胡 木村ハルヨ LIVE (自分はDjembeで参加)
□チベットで撮影された写真の展示とトーク。30分ほどのショートムービー「ヒマラヤを越える子供たち」の上映。
□自分、Kackey@dabigtree LIVE (サポートにGuitar,三線,二胡奏者)
□沖縄三線 加納兄弟 LIVE (自分はDjembeで参加)
現在、隣人の国でなにが起きているか知って欲しい、なにより自分がもっと知りたいのでフリーチベットの活動をしている友人に参加してもらった。
『ヒマラヤを越える子供たち』というショートムービーは短時間ではあるが、チベットの現状がよくまとめられており、シンプルで観客の全ては静まり返り衝撃を受けていた。
親元から離れ、見つかれば殺されるかもしれない、その前に自然に殺されるかもしれない過酷な国境越え。
「それでもいつかは中国人とも仲良くしたい。」
小学校低学年ほどの少年は語る。顔つき、特に目が子供の目ではない。とても強い目だ。
是非一度見て欲しい映画。
音楽がまず壁を超えるという意味で、中国の弦楽器である二胡をはじめいろんな国の楽器奏者に出演してもらった。自分はもちろんいつもの共演者とともにDjembeを叩いて歌った。
重くて暗いだけのイベントにしたくなく、最後は明るく沖縄音楽でみんなでカチャーシー(三線の調べに乗せて踊ること)。
”今生きている”という事と”今他人と繋がっている”という事を感じるにはうってつけ。歌とダンスと太鼓は古今東西みんなを一つにする。太古からの発明品だ。
チベットのショートムービーを流してから、ここに持っていく水先案内人として自分のソロを持ってきた。
大変難しいポジションであったが、その分やり甲斐があった。
自分は「電気消してキャンドル灯せばとりあえずエコみたいやしやろう。」というようなキャンドルナイトではなく(果たしてそれにどれくらいの、そしてどのような効果があるのかを
突っ込んで自分で調べる人は少ないんじゃないだろうか)、”生きるとは何ぞや”という事を周りの人が再考する機会にしたくてこのキャンドルナイトを企画した。
そして考える前にまずこのイベントで観たもの聴いたものを”感じて”欲しかった。
そうまずは”Don't think,just feel by ブルース老師”。
平和の火はこの目論見にぴったりのキーツールだと思う。
〜終わりに〜
初めてワンピースに参加するあなたも、きっとこの火をもらいキャンドルナイトを行うその日まで様々な思いが生まれるだろう。
恐れることも否定する事もない。
まずそのまま受け止めてただ感じて欲しい。
それはあなたにとって実に有意義なインスピレーションをもたらし、良い体験となるはず。
自分は今年もワンピースに参加します。
たとえ遠く離れていて実際に会うことがなくても、火を通して会いましょう。
Kackey@dabigtree 27th May 2010
i sing songs playin' Djembe or Guitar☆
http://kackey.iza-yoi.net/